SaikaColorTechBlog

渋谷のITベンチャー企業から中小企業に転職したエンジニアの話

紙での情報共有やめてく

バリバリ現役の紙の資料

前職では入社時に渡された資料や年末調整くらいしか紙の資料をもらうことはなかったのですが、転職してからはそこかしらにプリントアウトされた資料や手書きの資料がありほほーという気持ちになってました。

紙媒体で情報共有って改めて考えてみるとデメリットばかりです

  • 複数の人に共有するためには共有する人数分のコピーを作成する必要がある
  • 情報にアクセスするには紙がある場所に物理的に移動する必要がある
  • 情報のアップデートがめんどくさいため、最新でない情報になりがち
  • 情報が不要になった瞬間に紙はゴミになる
  • 保管するのに物理的な場所を必要とする
  • 検索ができないため必要な情報を探すのに手間がかかる

一度会議に出席すると数十枚の資料が手渡され、それらのほとんどはちらっとみる程度役目を終わるものばかりでげんなりとします。

 

会議以外でも検査においては検査台帳なる紙の表がバリバリ使われていました。

検査台帳は製造された製品の検査結果をまとめているものでざっくり以下のようなアクセスがされます

f:id:bryan_f:20190312172426p:plain

製造事務、製造、検査は離れた場所にあり、検査台帳は検査室にあるためここに出てくる全員が頻繁に検査室へ来て検査台帳へ書き込みをしたり結果を確認したり必要があります。

また、検査では月ごとに検査数といった各種数値の集計を行うのですが、その集計もこの台帳を元に手動で計算しており集計だけでも毎月数時間がかかっている状態です。

デジタル化の検討

この検査台帳を紙媒体からデジタル媒体に変更する目的は主に以下になります

  • 物理的な移動をしなくても検査台帳の情報にアクセスできるようにする
  • 集計作業を簡易化する

この要件を満たす手段はパッと思いつくものだと、

  • 検査台帳システムを作成
  • 共有サーバに検査台帳のエクセルファイルを置く
  • グループウェア表計算ソフトに検査台帳を作成する

などが上げられます。検査台帳システムは後々あったらいいかもしれませんが、現状だと自分自身が本当に必要なものが見えていない部分もあるはずなので、まずは少ない工数である程度の効果が出せるものを動かし、しばらく運用してみて必要になったタイミングでシステム化は検討することにします。

共有サーバにエクセルファイルを置くのもなくはないですが、同時編集がしんどかったりネットワークの設定が面倒だったりとあまりコスパがよくなさそうです。

G SuiteやOffice365などのグループウェアであればインターネットにつながるデバイスさえあれば検査台帳をどこでも見れるようになります。

ということでグループウェアで検査台帳を共有できるようにことにし、どのグループウェアを使うかは自分が慣れていることもあってG Suiteで実現することにしました。

G Suiteの導入

G SuiteはGoogleが提供しているグループウェアサービスで、ざっくり言うとWord、ExcelPowerPointなどのOffice製品をブラウザ上で作成・編集・共有できるサービスです。他にも色々できることはあるのですが細かいことはここでは割愛します。

料金がかかるものなので、G Suiteってなんぞ?入れるとどんなことできるん?ということを噛み砕いた資料を作成し、役員陣を説得して決済をもらいました。

元の検査台帳はこんな感じで、ほぼ同じ内容の表をスプレッドシートで作成

f:id:bryan_f:20190313151915j:plain

f:id:bryan_f:20190313152207p:plain
作成したスプレッドシートを検査と製造事務のPCで閲覧・編集できるようにしました。

本来ならば検査結果を参照する製造でも見れるようにしたいところだったのですが、工場内にはまだインターネット環境がなく、また粉塵といった電子機器にはしんどい環境なのでそこは後回しにすることにしました。

スプレッドシート作成時の考慮

せっかく電子化するのであればいつかシステム化する際に使えるデータにしてやりたいところです。

単純にスプレッドシートの表を作ってしまうと、表記揺れや、紙の名残で同上を意味する「〃」を記入されてしまったりとデータとしては使いにくいものが入力されてしまいます。

そこで、スプレッドシートの入力規則でフォーマットを制限したり、納入先などの項目はフリーテキストではなく、マスターデータを作成し選択して入力するようにしました。

また検査日付などはGASで検査結果の列が合格になったタイミングで自動で日付を入力するようにして入力負担を下げられるところは下げるようにしてやりました。

電子化の効果

これまでに利用していた表とほぼ同じフォーマットでスプレッドシートを作成したため、媒体が紙からPCに変わっただけという感覚でみなさん利用することができたので特にトラブルもなくすんなりと運用が回るようになりました。

検査台帳は月ごとに集計をしていたため、導入月は紙の検査台帳とスプレッドシートの検査台帳の両方を利用していましたが、翌月からは紙の検査台帳は完全になくなり、スプレッドシートのみを利用するようになりました。やったね。

f:id:bryan_f:20190313154343j:plain

こんな感じのファイルが50年分以上社内に眠っているようです。誰が一体いつ見るのか・・、見たいものは見つけられるのか不安になりますが、もうこのファイルが増えていくことはないと思うと嬉しいです。

狙った通り、製造事務はデスクから離れることなく検査台帳への書き込みができるようになり、また検査においてもこれまで数時間かけていた集計も集計シートによって秒で集計が終わるようになり、作業効率をぐっとあげることができるようになりました。

スプレッドシートの検査台帳の運用が回り出すと、営業側からも見れるようにしてほしいとの話を聞き、どういうことか聞きにいくと、納品先から納期について聞かれた際、これまでは製造の進捗が製造事務や検査に問い合わせしないとわからなかったが、このシートを見れば検査待ち、検査終了といった製造進捗がすぐにわかるようになるので助かるとのこと。

すぐに営業でも検査台帳を見れるようにしたところ、営業側もだいぶ助かるようになったようです。

社内の情報をオープンにしてやると副次的な効果が生まれるのでそういうのもできるといいなーと思っていたので、まさにそういうの欲しかった的な効果もでてきました。

弊社の本社は大阪にあるのですが、東京にも営業所があり、そちらでも同様に検査台帳が見れるようになると東京の営業が助かるということなので、東京営業所にも出向きそちらでも同様に検査台帳を見れるようにしました。物理的に距離が離れていてもインターネットさえあれば簡単に共有ができるのはG Suiteならではというところです。

今後

第一歩として紙媒体からデジタル化を行いましたが、スプレッドシートで頑張っていくと表が複雑化して行ったり、行に色をつけて何かしらの意味を持たせると行った謎の運用ルールがはびこりだしたりと徐々にしんどさが出てきます。

運用後も利用者に定期的にヒアリングをして必要な情報の追加等を行いつつ、何処かのタイミングでシステム化すると良さそうな気配があるので、その辺も徐々に進めていこうかなと思います。

また、今回は検査台帳についてデジタル化を進めましたが、同じようなものは社内にいくらでもありそうなので色々な部署を転々とし目についたものは一つ残らず駆逐してやろうと思っています。